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俺、三回も読書しちゃったし! : 雑記 : velocity *blog

Δです。いつだったか倖田來未が口を滑らせて物議を
かもしている「35歳以上の女性は羊水が腐ってる」発言に
対して、少し考えてみました。

この「35歳以上の女性は羊水が腐ってる」をそのまま男性に
置き換えるとなんなんだろう。
「35歳以上の男性は精子がかびている」
とかなんだろうか、とか。

ともあれ。

久々に『恋空』を読んだときのことを思い出しました。



イキました。


3回も。


-- ◇ 俺、三回も読書しちゃったし! の続き --


えー皆々様、お久しぶりです。

まさかの連載シリーズ、「恋空をまじめに語ってみる」ですが、
今回が連載三回目です。これが最終回ということで、
『恋空』の文体を中心に書いてみようと思います。

まず『恋空』はケータイ小説なのですが、驚くべきことに
ケータイ小説は「本当に携帯電話を使ってちまちま書かれている」
ことが多いそうです。

PCやワープロで小説を書くことに慣れ親しんだ人にとっては
「そんな面倒なことやってんの?」と信じがたい話ですが、
これは事実です。下のリンク先に、とあるケータイ小説家への
インタビューがあります。

谷口正晃さんの「紙面に書ききれなかったこと」(2006年11月24日):イザ!

このインタビューで、彼は興味深いことを幾つかいっていますが
(小説家とケータイ小説家はまったく別物だとか)、ここでは
以下の発言にのみ注目してみます。

 パソコンと携帯では文章が違ってしまう。パソコンのほうが
 早いが文章が説明文のように長くなってしまう。携帯で書く文章とは
 リズム感などが違う。読者はそれがすぐに分かるようで指摘がくる。


そう、ここで大事なのは「リズム感」です。自分が『恋空』を
読んでもっとも感心したのは、説明が不足した文章である
にもかかわらず奇妙なリズム感がうまれていることでした。

おそらくこのリズム感は、携帯という媒体を通してケータイ小説を
読んだときのみ正しく理解されるものなのかもしれません。自分は
パソコンで読んだので、半分くらいしかその魅力が伝わらなかった
のかもしれません。なにしろ先のインタビューによれば、
携帯で小説を書かないと読者にはすぐ気づかれて指摘される
そうですから。

ただ下の文章にみられるテンポのよさは、パソコンの画面でも
一目瞭然なんじゃないでしょうか。

----以下引用-----

♪プルルルル♪

着信音で
起こされる。


ん?非通知だ。
…誰?
出てみよう。



『もしもーし?』


『ブス』


ガチャ
プープープー


切れた。


女の声だ。
誰??



♪プルルルル♪


また非通知。


『もしもーし?』


『チビ』


ガチャ
プープープー


また切られた。

----引用おわり-----


これはどんなシーンかというと、主人公に二回電話が
かかってきたがどちらもイタズラ電話で一方的に
悪口をいわれてすぐきれた、というとこです。

出来事をテンポ良く描写しているのが印象的ですね。
ケータイ小説の文体が独特のグルーヴ感を生んでいる、
とてもわかりやすい例かもしれません。

思うに、ケータイ小説の文体が既存の小説の文体と
違うのは、ただ文章力が低下しただけのことではなくて、
それなりに長所を見込んでのことではないでしょうか。
『恋空』にもそれが存分にあらわれていると思います。

とはいえ既存の小説を読みなれた人にとっては、
『恋空』の文体が妙に稚拙に感じられ、なおかつ
読み難いということも事実です。

これは長所短所だけの話ではなく、単に技術論的な
トピックとして片付く部分も含んでいるような気がします。

この点はライトノベルの文体と比較すればわかりやすい
かもしれません。

いわゆるライトノベルの文体は、(よく中2病といわれるように)
過剰に装飾されたものが多いです。

「その刹那、少女が地を蹴ると彼女の肢体が重力の
呪縛から解き放たれ夜の街を疾駆した」みたいな、
もってまわった言い回しが好まれる傾向にあるようです。

それとは対照的に、『恋空』の文章はとにかく簡素で、説明や
描写が圧倒的に足りていません。心情はわりかしちゃんと
説明されているんですが、情景描写がまったく足りていないんです。

これはホント、物語を読む上で苦痛でした。こっちはまじめに
読んでいるのに時折、いま誰が誰と会話しているのか、
その会話はどこで行われているのかがわからなくなってしまう
ってわけです。そりゃ苛々しますよね。

おそらく作者の頭の中には、登場人物同士が会話をしている
映像があって、読者はそれが言葉にされていなくとも同じ
映像をイメージできるものと思い込んでいるのでしょう。

当たり前ですが、それはできません。

だから妙な話ですが、『恋空』はライトノベル以上に漫画や
ドラマに近い文体で書かれている
といえます。読んでる途中、
「ああこりゃ映画化しやすいだろうな」と何度も思いました。

たとえばライトノベルでも、西尾維新のようなアクの強い一人称文体を
映画化するケースを考えてみると、相当困難をきわめるだろうことが
予想されます。それに比べると、『恋空』の主人公は思考が読みやすく、
演技する方からしても簡単でしょう。それにそもそも描写らしい描写が
されていないんだから、自由に絵を作っちゃっていいわけですし。

ということで、これまでの内容をまとめると。

ライトノベルなんかよりライトなのがケータイ小説なんだよな、
ってことは今後読者が難度の低い文章を求めれば求めるほど
ケータイ小説市場は拡大して既存の小説市場は縮小するんだろうな、
ということです。

これは恐るべきことですが、しかしやはり現実的な予測では
ないでしょうか。

みたいな感じで、一応まとめられたのかな。

どうだろう。

えー、長くなりましたが、この辺で『恋空』をまじめに語るシリーズを
終わりたいと思います。で、最初にも書きましたが、俺はなぜ突然
こんな連投を始めたのかというと。

世間で話題になっててもオタクはきっと馬鹿にするばかりで
読まないだろう作品がたくさんあります。今回扱った『恋空』を
はじめとして。

しかし、実際にはそれらから学ぶべきことは多いし、もっと
まじめに触れてみていいんじゃないかと思います。もし触れてみて、
仮にそれらがまったくおもしろくなかったとしても、それはそれで
有意義なことなんじゃないでしょうか。

だってそれは、今の世の中で自分が属している文化集団が
どれだけ優秀かってことを身をもって経験したわけですから。
このような体験によって、自らの視点を相対化することも
たまにはよいのではないかと思います。

ま、そんなところですかね。

えーと、最後に、『恋空』について書こうと思ってたけど内容が
つながらず書けなかったことを二点ほど載せておきます。


一つ目。小説で主人公が「知識不足」って斬新だなーという話。


----以下引用-----

医者は
静かに話し始める。



「残念ですが…
流産です。」


「……え」


視界がぼやけて
見えた。


(中略)


「何かあればボタン押して下さいね!」


病室から出て行こうとする看護士を引き止める。


「……流産って何ですか??」



看護士は悲しげな表情で流産について説明をしてくれた。



「胎児が子宮内で死んでしまって妊娠が継続できなくなることです…」

----引用おわり-----


っておい、流産が何かくらい普通しってんだろ! みたいな。


二つ目。これはやや重い話なんだけど、若い読み手に向けて
なんらかのメッセージを伝えるときに、そのメッセージにより
何らかの社会的責任を帯びる
ということはありえないのか、
ということ。

つまり、以下のような考えに影響を受けた読者がいたとして、
これをもとにその人が自分の進路を決定したとき、そして
結果的にその読者の一生を台無しにしてしまったとき、
小説家は責任をとらなくていいのだろうかということ。

まあ、とにかく下の引用を読んでください。


----以下引用-----

先生は煙草を灰皿にぎゅっと押し付け火を消すと

進路調査表を見ながら話し始めた。


「専門学校希望か?」


「……まぁ」


「大学に行く気は?」


「ないですけどぉ~…」


「先生は大学に行くべきだと思うぞ。美嘉英語得意だろ?卒業しても英語勉強していけば将来役に立つぞ!」



一見聞くと美嘉の将来を心配して大学をすすめてくれているようだが、
自分のクラスの生徒が専門学校に行くよりも大学へ行ったほうが担任の株が上がるということを知っている。


大学に行くのが
嫌なわけじゃない。

英語を勉強するのが
嫌なわけでもない。


大人にはわからないこの微妙な気持ち…。


【好きだった人と昔行く約束してたから】


なんて言っても
大人は笑うんだろうなぁ…。

----引用終わり-----


俺はあまりリテラシーのない若い読者に向けて、
こういう危険な考えに触れさせるのはどうかと思います。
小説ってのは若い読者に否が応にも影響を与える
ものでしょうから。

もしこれを読んで、「好きな人との約束」なんていう青臭い
理由で実際に大学から専門学校に進路変更する子が
一人でもいたら、それはまずいことなんじゃないかと思います。

まあ、これはちょっと難しい話ですけどね。


えーと、これでホントに終わりです。ネタ尽きた。

ここまで長々とお付き合いいただき、
どうもありがとうございました。



BGM: 桃井はるこ「はるこUPDATE Songs Best」
(manzoさん含む編曲者が三人とも優秀で驚かされる。ニューアルバムも楽しみ。)
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